帰化の要件は厳密で審査も厳しいと書きましたが、その内容についてざっくりと書きます。余談ですが、師匠が法務大臣をやっていた時、二人でご飯を食べてた際に「帰化ってそんなに厳格なんですか?」と質問したのですが、「ん~、厳格だね。厳しい要件だね」と仰っていた事があります。
要件は7つとされていますが、それぞれについて細かく審査されます。ここでは、基本の普通帰化について取り上げます。簡易帰化という制度もあり、一定の外国籍の方は普通帰化よりも要件が緩和されています。細かく掘り下げませんが条件を設けている意図から考察して頂ければと思います。
1.住所条件
帰化をする時までに、引き続き5年以上日本に住んでいる事が必要です。
※ 「引き続き」の要件が重要で、在留資格が合計5年以上あったという意味ではありません。就労期間の要件も
あります。
2.能力条件
18歳以上で、本国法でも成年に達している事が必要です。
※ 日本で自分で法律行為が行える能力、すなわち行為能力が備わっている事が必要という意味です。例外もあ
ります。
3.素行条件
素行が善良であること。社会通念により善良であるかの判断がされます。
※ これから日本国が日本国民として受け入れるメンバーになるので、生まれながらに日本国民である人の社会
通念よりも厳しいと思われるような品行方正さを求められる感もあります。犯罪歴や納税について、日本国
民なら軽く考えている交通違反、税金(健康保険も同様)の滞納が無くても支払期限を過ぎてから納めた、
なんていう場合もマイナスです。決められたルールをきちんと守れるのかという観点が働いているのかもし
れません。これは日本での生活だけでなく、過去の本国での生活についても同様に審査されます。当たり前
ですが正直に記載しない時点で素行不良ですので、全て正直に記載するのがベストであり虚偽記載はアウト
です。今の時代は、どうせバレてしまいますので、きちんと書いた方が印象は良いと思われます。
4.生計条件
日本で生活していく為の生計を維持できる。
※ 生計を共にする親族単位で判断されます。帰化申請人本人に十分な資力が無くても、配偶者や親、子供に十
分な資力があれば問題ありません。資力に乏しく、いずれ素行不良になるような事があっては日本国民とし
て受け入れがたいという事だと思います。
5.重国籍防止条件
日本国では二重国籍を認めて無いので、本国の国籍を離脱できる事が要件です。
6.憲法遵守条件(思想条件)
日本の政府を暴力で破壊する事を企てたり主張するような者、そのような団体を結成したり加入しているような者は帰化できません。
※ これから日本国の国民になりたい人が、帰化後に反日活動をするというのは問題があります。
7.日本語能力条件
日本国民として日本国で生活するのには、一定程度の日本語能力が必要です。
※ 当然ですが日本語ができないと生活に支障を来します。この日本語能力は、話す事だけでは無く、読み・書
きも必須です。違和感無くペラペラに話せても読めない、ペラペラ話せて読むのもまあまあだが書けない、
そんな方も多いです。7つの要件のうち、最終的に「読み・書き」でアウトのケースが多いと思われます。
基準としては、小学校3年生程度の日本語能力とは言われますので、これを読んで理解してる方なら読みは
十分だと思います。
以上、7つの要件についてざっくり書きましたが、それぞれについての細かい審査基準が有りますので、上記7
つをクリアしていても100%帰化できるとは限りませんので、ご了承下さい。